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2024年7月21日日曜日

熊倉沢 右俣 (沢登り)

2024年の関東地方の梅雨は、線状降水帯を連打したと思う間もなく7月18日に突然明けました。
少しじめじめ感は残りますが、ほぼ平年並みの夏本番到来。

東京の沢に、日帰りでシーズン始めの足慣らしにでかけました。

南秋川支流の矢沢の最初の支流となる熊倉沢は、熊倉林道終点付近で左右両俣に分かれて、どちらも初心者やシーズン最初の足慣らしとして多く遡行されているみたいです。
WEBの記録では両方を続けて上り下りする、いわゆる継続遡行という登り方が多く見られますが、体力に乏しい高齢者は右俣のみの遡下行(右沢遡行後に左沢下降)でサクッと行きたいな。

都道33号線(檜原街道)の南郷バス停から南側へと入る矢沢林道のゲート前の路肩駐車スペースからスタートです。
平日なのでゲートは開いていましたが、その代わり木材搬出の大型トラックが割と頻繁に通行していました。

5分ほど歩いたところにある落合橋の手前で、ロープが張られた右側の熊倉林道を、蜘蛛の巣にからまれながら15分少々歩くと、歩道の橋が伸びて行く熊倉沢の左俣との出会いとなります。

出合からさらに数分で広場がある林道終点。そこから左岸のコンクリート壁の上を落ちないように歩いて行くと、10分足らずで壁が終わり、不安定なロープの踏み跡が斜面を上がって行きますが、その手前から入渓することにします。
このナメ滝を登るところから遡行開始です。

遡行開始から15分ほどで二俣となるので、小滝で落ちる右沢に入ったとたん、奥に流域最大18mの落差を誇る陸軍滝が見えてきました。

滝の下まで行ってみます。

ごらんの通り陸軍滝は直登不可能なので、右岸の踏み跡から巻いて行きます。

踏み跡は作業径と合流し、滝上流の平凡な沢に降り立ちます。

まったりとした沢の中を15分ほど行くと、小滝が連続してきて、最奥がCSの滝となります。

このCS滝は、ガイドブックによると「残置ハーケンを利用してA0で」とありますが、そのハーケンについているシュリンゲの長さが10cmほどもなく、ちぎれそうなボロボロの短いヒモをピンチで持つことになります。
手に力がかけられなくても足下がしっかりしていれば問題ないところですが、ヌメった岩をスメアで落口に飛びつくこととなりました。

残置のヒモを指に食い込ませながら、命からがらクリア。これは厳しいぞ。
ちなみにこのチョックストーン滝は右岸の土の斜面から巻けるとのことです。
いやー、アブミでも持ってこない限り巻いたほうがよかったな。
キモを冷やしたまま遡行を続けていきます。

ところどころで簡単に登れる小滝が登場する沢をCSから15分ほど行くと...

正面が枯沢となる二俣に到着。
10mほどの滝で落ちてきている水流がある右俣が本流です。
帰ってきてから写真をよくよく見てみると、この滝も左俣の斜面の茶色いところから巻いて行けそうですね。

ただ、その場に居るとどうしても滝にしか目が行かないので、つい先ほどビビったことも忘れて、登ろうとしてしまいます。

見た目はホールドだらけで、

実際登って行ってもハシゴ状が続くのですが...

最後の最後に落口を捕まえるホールドが曖昧で、スタンスもヌメっていました。
高さがあるので落ちたら大惨事です。
下から見たときは流れ沿いが無理だったら落口の岩の右側を登れるのでは?と思えたのですが、その場所に行ってみると甘かったですね。
ふぅ。やばいやばい。

あとはツメるだけです。
デジカメには小滝が写っていましたが、CS滝と10m滝のトラウマが残っている中では、どうやって登ったのか覚えていません。

水流がある方の沢を選んで詰めていきます。

715mの左岸枝沢出合を左。

735mも左。

780mの明確な二俣を右に行くと浅間峠の四阿が見えてきました。


峠で一服したあとは、左俣を下降して帰ります。

峠を通る関東ふれあいの道を生藤山方面へと歩くとすぐに、栗坂峠の標柱が出てきます。
この標識の裏(東)側が下って行く左沢です。
(標柱まで行かなくとも、その途中からも下りれます。)

急な斜面の緩い部分を選びながら、標高50m少々降りていくと、沢型が明瞭となってきて、容易にクライムダウンできる滑滝が続きます。

標高620mで右岸から沢を合わせると間もなく、前がスパッと切れ落ちて大きな滝となりました。
ガイドブックには5mと書かれているこの滝は、ぱっと見た目もうちょっと高く、流側の左(右岸側)を懸垂下降しました。

予め全体がどのようになっているかがわかっていれば、一番水量の多いところをクライムダウンできるかもしれません。

5m滝を一段降りたところも足下が切てましたが、この小滝は左岸側を簡単に降りることができました。

小さなゴルジュ状を下った先にもうひとつ、懸垂下降する滝がありました。

ガイドブックには4mと書かれているこの滝も、実物はもっと大きく感じましたね。
先ほどの滝と同様、流側の左(右岸側)のルンゼを懸垂下降しました。
下る先がどうなっているかがあらかじめわかっていれば、ルンゼ内をクライムダウンできるかもしれません。

滝の全貌はこんな感じでした。

滝を下り終えるとまもなく、右沢との出会いが見えてきます。
ここからは往路を引き返します。

植林に囲まれた沢を、往時の杣人になった気持ちで歩いて行くと、沢沿いの所々に残る古い杣道が見えてきます。

林道途中の沢で装備を洗い、クルマに戻ります。

休憩込で5時間少々の旅でした。

●本日の反省
・無謀な突っ込みに注意
 「遡行時間が短い初心者・初級者向けの沢」という定評を鵜吞みにしてCS滝と最後の10m滝に深い考えなく取り付いてしまった。
 「初心者が登っているんだから何とかなるだろう」という先入観が要因だが、初級者の自分には正直ちょっと(いや、かなりか...)厳しく、原則自重すべき行為を一度ならず二度も繰り返してしまった。
 下山後にガイドブック(新版東京起点沢登りルート100(宗像兵一:山と渓谷社))を読み返すと、「右俣の右沢は初級者には難しい」とあり、「陸軍滝や10m滝を持ち、特にCS滝の登攀は沢慣れた人の同行が必要」と具体的な危険個所も書いてあるではないか。
 せめて巻くことくらい考えてから行動しよう。…大事に至らず幸いだった。


●2024年7月19日(金)
矢沢林道ゲート(7:55)→落合橋(8:00)
→左俣出合(8:20)→熊倉林道終点(8:25)
→法面終点(入渓;8:35)→二俣(陸軍滝巻き;8:55)
→4mCS滝(9:20)→680m二俣(9:45)
→浅間峠(10:20~35)→栗坂峠(10:40)
→620m二俣(11:20)→二俣(12:10)
→熊倉林道終点(12:35)→落合橋(13:05)
→矢沢林道ゲート(13:10)




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