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2023年5月6日土曜日

浦山川 大神楽沢 (沢登り)

2023年の陽光眩い子供の日に、今シーズン初の沢登りに行ってきました。
※このサイトで記載する「大神楽沢」は、埼玉県奥武蔵にある大持山の東面を流れる(山と高原地図などでは「オカグラ沢」と標記されている)沢です。群馬県多野郡上野村の諏訪山にある大神楽沢とは異なりますので、ご了承願います。

前年の2022年の夏に書店で偶然、白水社の季刊誌「山の本」を立ち読みしたときに、たたまたま開いたページが「静山紀行」のコーナーで、武甲山の近くにある大持山へのバリエーションルートを紹介したものでした。

そのときは、沢登りではなく登山のガイドなのかなと感じてあまり興味を持ちませんでしたが、その後長く続いた夏の悪天候(平地は灼熱・山は降雨)の期間に改めて興味が湧き、資料を入手しなおして、シーズン明けと共に行ってみることにしました。

というわで、「山の本」2022年夏号(白水社;No.120,P114-115)に掲載された小澤潔さんの記事をたどる旅に行きます。

秩父市街から国道140号線を雁坂峠方面へと進み、浦山ダムの標識を左折して県道73号(秩父上名栗)線を橋立鍾乳洞やダムを通り過ぎて奥へと行くと、浦山大日堂の1kmほど手前の大神楽沢橋で左折する道路があります。
武士平へと登るその道が大神楽集落を過ぎた先で、通行止めと手書きで書かれた手前の路肩が今日のスタートです。
左の山側の樹林には小さな神社があり、右側のガードレールが終わったところから、廃道が続いています。

先ずは崩れた橋で沢を渡り、大神楽沢の左岸に続く道を登ります。

道は一か所崩れていますが上流にはまだ砂防堰堤があるので、そのまま忠実に林道を行き、終点の最終堰堤を左岸側から越えると、奥には崩壊して瓦礫となった沢が続いています。

ガレ場が終わるところには右岸から沖中ノ沢が出合います。
この先の本流を通り抜けるには登攀を要する可能性があるので、この沖中ノ沢から巻いて行くのが基本ルートとなるみたいです。
そのまま本流を進んで、奥に何があるのかを見てみましょう。

枯れた沢はすぐにゴルジュ状となり、小滝があらわれます。

手前の右岸に思わせぶりなトラロープが垂れていますが、ロープを掴むところまで行くよりも滝を直登した方が楽そうなので、流れの中央をプチシャワーで越えます。

小滝の上にはもう一つの小滝があり、こちらは右側にトラロープが懸かっていました。

トラロープがある岩壁よりも反対の左側の方が傾斜が緩くて登りやすそうですが、せっかくですのでありがたくロープを使わせていただきました。

小滝の上で正面に岩壁が出てくると、その左側が10mほどの滝となっていました。
水量は少ないですがなかなか立派な滝で、一人で直登するにはちょっと不安があります。

なので、左脇の草付きを巻いてみようと登ってみますが、ここでチェーンスパイクをクルマに忘れてきたことに気付きました。
フェルトソールの渓流シューズのまま登ってみましたが、落口の少し下くらいの高さから傾斜が増してグズグズとなったので、残念ながらあきらめ、一旦引き返して先ほどの沖中ノ沢から巻くことにします。
ちなみに、引き返すときは先ほどの小滝を降りることとになりますが、ハーケンとハンマーを持っていない人はなかなか支点がとれません。
なので、2つとも設置してあったトラロープを利用させていただきました。

その時、上の滝はロープを使って登った経験が役立った一方で、下の滝はロープの長さもアンカーとなっているブッシュの位置も、とても微妙で、登りに使わなくてよかったと感じました。(個人の感覚です)

というわけで、沖中ノ沢の出合まで戻ってきました。

沖中ノ沢は、すぐに二段の小滝がでてきます。
一段目は左岸すぐ脇を落口へと巻きます。

二段目は左側についているトラロープを使わせていただきました。

二段滝の上で両壁が急に高くなり、奥に二段10mほどの滑滝があります。

滝の両脇は切れ込んでいますが、滝自体は傾斜がユルいので、圧迫感はそれほどありません。

が、これを登ろうとするとなかなか登れません。
一発ボルダームーブで抜けれないことはないかと思いますが、上段で行き詰ったら飛び降りなくてはいけないので、すごすごと引き返しました。

右岸すぐにあるこの切れ込みから巻いて行きます。
出口にはトラロープも完備されていました。

トラロープの上を横切る薄い踏み跡を通って沖中ノ沢を渡り、さきほど引き返した本流ゴルジュを巻いて行きます。

巻き径(林業用の歩道)は小さな沢型をいくつか渡り、本流の755mにある左岸枝沢出合付近に下りてきます。

沢はそこから北東方向に向きを変えて、大雑把な岩だらけの中を流れます。

途中には人工的な何かも見られます。

標高800m付近で崩れ気味の右岸から湧水が落ちてきますが、その奥でまたも岩壁が塞ぎます。

ここも下段のちょろちょろ滝は登れそうですが、その奥がどうなっているのか読めません。

なので、ちょっと引き返して湧水のザレの上から巻いて行きます。

ここも作業歩道を使った巻きで、すぐに沢に戻りますが、戻った沢の水は涸れていて、巨岩転石の谷となります。
クライミングは全く必要ないものの、手足をフルに使って登って行きます。

標高920mで右岸から枝沢が出合うと、本流は右にカーブし、先の方にまたまた岩壁が見えてきます。

標高950mで水流が復活するところには、この沢の最後にして最大の滝がありました。

トレンチ状の下部は登れそうですが、その上はたぶん無理だろうな。

ということで、またまた右岸の沢型から巻きます。
三回連続の右岸巻き。

巻き終わると、枯れた二俣が見下ろせるので、設置されているトラロープを使って二俣に降り立ちます。(トラロープなしでも降りられます)

降り立った二俣は、大滝のすぐ上でした。
ここで装備を解除します。

ここから稜線の登山道までは右俣の左岸尾根、つまり一番右に見える尾根を登って行きます。
二俣から見上げると、結構急で凸が多そうで、実際登るとその通りなのですが、手がかりが豊富なのでどんどん登って行くことができました。

登るにつれて傾斜は徐々に緩くなり、標高1120mくらいで稜線から降りてくる尾根と合流するあたりでは鹿が走り回って歩きやすくなります。
日差し溢れる尾根を登って稜線の登山道に合流。
大持山はすぐそこです。
さて、スタートした場所への下山は、一旦引き返して小持山まで行き、そこから西へと伸びる尾根を使用することにします。

小持山に向けて下り始めるとすぐに、展望の良いところが一か所ありました。
雨乞岩と呼ばれている場所なのでしょうか。
先ほど登って来た尾根を見下ろす先には、奥多摩との境界をなす尾根が横たわり、そこに向けて細久保谷(左)、大久保谷(右)といった奥武蔵を代表する谷が切れ込んでいます。

ここを登って来たのね。
ということは、あの谷底まで下って行くということなのか...

こちらは、これから下山に使う「高ワラビ尾根」です。
植林が多いので、しっかりした径がついていることに期待します。

小持山の山頂から少し下った西側に張ってあるトラロープをまたいで高ワラビ尾根に入ります。

登山道から見えないように残っている古い標識の先には、よく整備された造林作業径が続いていました。

定期的に赤テープや境界標がついている道を下って行くと、武士平へ左折する場所(巣山ノ頭と呼ばれているのでしょうか)にきちんとした道標がありました。

タワノ尾根の急斜面を標高差200mほど一気に下ると、徐々に傾斜が緩くなり、明瞭な尾根(とはいうものの、武士平直前の標高800mで径をはずれてしまいましたが...)を歩いて茶平と武士平を繋ぐ径の観音石に下りてきました。

(恐らく)住民が一人となった武士平が見えてくると、すぐにスタートした大神楽沢沿いです。

●2023年5月5日(祝)
武士平入口(神社前路肩;9:15)→大神楽(オカグラ)沢左岸廃林道
→最終堰堤(9:30)→大神楽沢遡行→沖中ノ沢出合(9:45)
→710mゴルジュ奥10m滝(10:10~10:35)→引き返し
→沖中ノ沢出合(10:50)→沖中ノ沢遡行
→二段10m滝(右岸巻き;11:05~)
→本流750m左岸枝沢出合(11:30)
→800m右岸湧水奥のゴルジュ(右岸巻き;11:45~12:00)
→910m右岸枝沢出合(12:20)
→950m三段30m大滝(右岸巻き;12:30~)
→980m二俣(脱渓;12:40)
→右俣左岸尾根→大持山西尾根→登山道(13:50)
→大持山(13:57)→子持山(14:35)
→高ワラビ尾根→巣山ノ頭(15:20)→タワノ尾根
→茶平分岐(16:10)→武士平入口(16:25)





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